性同一性障害特例法

今更だけど、サイトの趣旨から言ってもやっぱり一応コメントしておくべきなんだろうな……。

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が2003年7月10日午後の衆議院本会議にて全会一致で成立した。2003年7月16日から施行される(関連)。

性同一性障害者が直面する様々な制度上の困難を法的に解決するという点に於いて、日本は先進諸国の間で著しく遅れていたけれども、今回、自民党性同一性障害に関する研究会の中からこの法案が生まれ、ようやく一歩、踏み出した。

この法案は、2人以上の医師から性同一性障害と診断され、次の5つの条件を満たす性同一性障害に対して、家庭裁判所の審判によって戸籍上の性別の記載を変更することを許可するというものである。条件は下記。

  1. 20歳以上であること
  2. 現在結婚していないこと
  3. 子どもがいないこと
  4. 性腺の摘出などにより生殖能力がないこと
  5. 希望する性に類似する外性器を有すること

私としてはこんな感想を持った。

  1. 法的な責任能力から言ってもどこかで年齢で線を引かざるを得ないし、現在、ガイドラインに沿ってしっかり診断を受けて治療を受けてたら、SRS終了までに20歳は超えるから、とりあえずは妥当なんでしょう。
  2. どうやら「同性婚を認めるわけにはいかない」という意図から作られた条件らしい。私は「同性婚かそれに準じるパートナー制度を是非とも作るべき」という考えだけれども、一般に同性婚が可能になる以前に性同一性障害者にだけ認められるという状況が好ましいとは思わない。

    なので、現状ではこの条件に賛成。将来、同性婚が可能になった時点でこの条件が削除されることを期待したい(私自身は結婚するつもりはないので関係ないけれど)。

  3. これが一番問題なんでしょうね。子どもの地位の混乱を防ぐのは大事だけれど、でもどうしようもなく道をふさがれてしまう人がいるのは何か違うと思う。

    正直、性別違和感を抑えて結婚できたりあまつさえ性行為すらできてしまう当事者の気持ちって言うのはどういうものなのか、私の想像を超えていて、だからあんまり共感できないのだけれど。でも、たとえ私の感情は彼らの身になって考えることができなくても、私の理性は「この条項はおかしい」と言っている。

  4. 健康上・経済的理由でSRSを受けられない人の問題が残ってしまうけれど、当面はやむを得ないと思う。私はより良い解決策を思いつかないから。将来的に何かもっと良い方法が出てくることを祈ります。

  5. 上に同じく