ぐんまRuby会議01 で発表してきた。
講演依頼では、「Rubyを通じて見てきた世界、ソフトウェア開発者としての世界観を語ってほしい」とのことであった。そうすると、私がRubyに関わっている理由は2つだ。
上についていえば好きなものを好きなのにそんなに理由はない。たぶん「プログラマのあるサブセットにとって自然で親しみやすく」というMatzの言語デザイン意図にうまくはめられたというだけだろう。 下についていうと、Rubyはあくまでも手段であり話題の主役ではない。が、Matzの意図についてはMatzがすでに多くを語っているし、私は下について話すことにした。内容は 過去の記事 +α。
ある人の世界観を共有する手段としては、背景にある読書歴というのが欠かせない。またそれらの書籍を通じてよりハイコンテキストな情報を限られた時間で伝達できる。だから今回はいろいろな書籍を挙 げながらMad web programmerと私の望む世界とそこに至るための私自身の取り組みについて話した。
スライドだけ見ても意味不明で、むしろ誤解を招きかねない部分もあるのでスライドの公開予定はない。ただ、その中では次のような書籍に言及した
- 鬼頭莫宏 なるたる(2) (アフタヌーンKC) - 世界と衝突する個人のありかたについて
- 吉永みち子 性同一性障害―性転換の朝(あした) (集英社新書) - 性同一性障害を理解するためのわかりやすい入門書として
- 山内俊雄 性同一性障害の基礎と臨床 - 専門書だけど、まーいろいろ事例が豊富に載っているので
- GoF オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン - 社会がオブジェクト指向デザインパターンから学べることは多い
- 石田スイ 東京喰種 1―トーキョーグール (ヤングジャンプコミックス) - 情報が欠如するとき、人は自分を含む集団をおとしめ、自分自身のあり方の現実を否定する
- 梅田望夫 ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) - ウェブはいろいろなものを変えた
- 弐瓶勉 NOiSE (アフタヌーンKC) - ネットの闇
- イーガン ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF) - ネットワークにアップロードされる人、生物としての限界を超越してなお人であること
- 伊藤計劃 ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) - いまよりもずっと信頼に満ちて安全な世界。物質の徹底したトレース
- ハックスリー すばらしい新世界 (講談社文庫) - 興味深くも、それをディストピアと思う人も多い
- セカンドライフ公式ガイド Second life the official guide - bitに価値を見いだし、経済が回る
- 大原まり子 ハイブリッド・チャイルド (ハヤカワ文庫JA) - 多産多死から豊穣が生まれる
- Dave Thomas, DHH『Agile Web Development with Rails』( Agile Web Development With Rails: A Pragmatic Guide (The Facets of Ruby Series) ) - Webにおける多産多死のための最初のフレームワーク
- まつもとゆきひろ、石塚圭樹 オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby (ASCII SOFTWARE SCIENCE Language) - Railsを生み出し、それをも超えていこうとするもの
正直なところ、あの内容を話すのも準備するのもかなりしんどい。それで若干準備し切れていない部分もあった。需要があればまたどこかで話したいと思う。