感情

感情は好きだ。以前の、性別違和感について考えることを避けるあまり感覚を全て押し殺そうとして、自分が機械的であることを望んで、次第に感情の起伏が無くなっていったあの状態は、今思えば酷く窮屈だった。体温が少しずつ無くなっていって、手足の感覚も無くなっていって、そしてその空隙に私が望む人格パターンを差し込んでいって、次第に私が私でないものに置き換わっていって、私が私の望む私でない何かになっていく。

だから、それに比べたら今の私は随分と自由になった。

昔読んだことのある少女漫画が文庫化されていたので何となく買って読んでみた。昔は見えなかったことがたくさん見えることに気がついた。昔はどうしても好きになれなかったキャラクターに感情移入できたりもする。汚い感情、憎むこと妬むこと、手に入らないならいっそ死んでしまいたいと願うこと、哀しい気持ち、そういった経験の上に在る私のことを、私は好きだ。

それはそれとして、死にたい。何となく。