Ruby 1.9.2のリリースと、イベントでの発表と

去る8月18日、 Ruby 1.9.2-p0をリリース した。これは、Rubyの最新安定ブランチとなるRuby 1.9.2の初のリリースである。

先日の Ruby会議2010 でもこのリリースについて報告してきた。

明日からの RubyWorld Conference 2010 でも似たような内容の発表をする予定だ。

今回のリリースでは、リリース管理に必要なチケットの整理やらなんやら、 mameさん にお世話になりっきりであった。これはリリースに必要な作業であるから、誰もやらないなら私がやらなければならないものであった。けれどもなかなか時間が取れずに放置していたら、痺れを切らしたmameさんがリリースマネージャ解任動議を発して発破をかけてくれたり、mameさん自身がチケットを大量に整理したりしてくれた。

私も後半は、いくつものパッチ取り込み判断を毎日こなしたり、なかなか解決しない問題についてメールを書きまくったり、お仕事らしいお仕事をしたのだが、ともあれ、mameさんがいなければRuby 1.9.2はリリースできなかったろう。

Ruby会議の発表でも言ったのだが、Ruby 1.9.2はbetter 1.9.1である。私が常々言ってきたように、1.8からへの1.9対応を進めてきたコードは1.9.2でもおおよそ問題なく動くはずだ。若干の仕様変更はあった。Ruby 1.9.1の時点ではとにかくカオスと化していた1.9系統開発を収束させることを目指したのだが、1.9.2では更に仕様の一貫性を高めた。また何よりもRubySpecにpassするということ、つまりRubySpecを通じて「Ruby 1.9の仕様とはこういうものである」と示すことができた。そして、我々Ruby開発陣もRubyを安定にメンテナンスするためのいくつもの教訓を得、経験を積むことができた。その集大成がRuby 1.9.2である。いままで1.9への対応を進めてきてくれた諸々のシステムが、いよいよ本格的にRuby 1.9を利用する第一歩となるリリースがRuby 1.9.2である。

まだもう少し事例が集まらないとお奨めするのは無責任な気もするが、しかし、可能性としては従来保守的にRuby 1.8.6を使っていたようなシステムでRuby 1.9系統を投入する未来が少し見えてきたようである。