The Root of .NET Framework

執筆段階のレビューに参加した。献本いただき御礼申し上げます。

The Root of .NET Framework

The Root of .NET Framework

私はC#の構文をこそ愛してるけど、CLRの低水準についてはまったくの素人だ。精々が『 プログラミングMS .NET FRAMEWORK 』とか『 Essential .NET 』を読んだくらいのもんで、実務ではリフレクションAPIすらまともに扱ってない。これがJVMだったら色々やってみたんだけどね。

なので、こんなレベルの私なりの視点でレビューしてみた。で、荒井さんには「これってどういうこと?」と随分素人じみた質問もしたものだ。で、荒井さんはその質問に答えて私にも分かるように説明を補足したりしてくれた。だから、この本は.NETそれ自体に深い造詣がなくても似たような経験やあるいは仕組みを解析することへの情熱があれば理解できる本だと言うことは証明されている。

とはいえ、帯に書いてある「その.NETアプリはなぜ遅いのか」は誤解を招くだろう。読むだけで何かが急に分かるようになるという本ではない。決して教科書的に概念を整理して教えてくれる本ではない。どちらかといえば実習書である。読者は自分の手を動かさねばならない。

この本の魅力は、エキスパートはどう考えるのかを提示してくれていて、その足跡を辿ろうとする人にヒントを与えてくれる、このことに尽きる。.NETのエキスパートがCLRを(ライセンスに抵触しない方法で)解析しJISで標準化されたCLR規格書を読解した、そのテクニックと考察とがそのままに書かれている。だから、読者はこの貴重なヒントを元に自分なりに実験し考察し、自分の中で理解を構築していく必要がある。私なら帯には「スーパープログラマーはこう考える」とか書くけどなー。

教科書を求めている人には向いていない。けれども、また一冊、『Rubyソースコード完全解説』や『 Linkers&Loaders 』を愛する我々の手元に置くべき本が増えた。