さよならピアソン

ピアソン桐原のピアソングループ離脱にともない、 ピアソンの技術書和書は書店在庫限り だそうだ。

聞いたとき、これは日本のソフトウェア開発にとってとんでもないことだと思った。それ以前に私にとっても困ったことだ。だから、在庫限りであるならばそれを押さえなければならないということで急ぎ書店へと向かった。 しかし、見渡しても買うべき本をそれほど見つけられない。これは何故だろう。

なるほど、古典的名著は数多くある。『達人プログラマ』『アナリシスパターン』『リファクタリング』『計算機プログラムの構造と解釈』『Effective C++』『Effective Java』『人月の神話』『テスト駆動開発』『詳解UNIXプログラミング』『プログラミング言語の概念と構造』『モダン オペレーティング システム』『分散システム―原理とパラダイム』『Java仮想マシン仕様』。どれもその技術分野を触る人なら最低限読んでおく必要のある本ばかりだ。そして、『Modern C++ Design』。

Modern C++ Design―ジェネリック・プログラミングおよびデザイン・パターンを利用するための究極のテンプレート活用術 (C++ In‐Depth Series)

Modern C++ Design―ジェネリック・プログラミングおよびデザイン・パターンを利用するための究極のテンプレート活用術 (C++ In‐Depth Series)

これはC++の歴史をかえた本だ。それに個人的にも、この本をたまたまふらりと入った六本木の青山ブックセンターの新刊棚で手に取らなかったら私はソフトウェア開発を職業にしてない。 そうだとも、あの華々しいC++翻訳書の数々を覚えているだろうか。だからこそ私だって、この度のニュースを「とんでもないことだ」と戦慄したのだった。

だが、買うべき本がない。私に関して言えば上のような基本中の基本の本はもう買ってある、というのもあるけど、それだけではない。

  • C++とかCORBAがそこら中で使われてる時代でもないし
  • Effective Javaとか、開発文化じゃなくて純粋技術の話は読みやすいから原書でもいいし
  • SICPとか原書の方が読みやすいとすら言われるし
  • タネンバウム先生の本は分厚いから、まー売れなそうだし、それを仕事で触るのでなければ必須でもないし
  • そして、Javaオブジェクト指向デザインもコンピュータサイエンスも、ピアソンのラインナップの後続にあたる最近の「must have」な本はみんな翔泳社オライリージャパンが翻訳している

これは売れなかろう。技術書から撤退という判断はやむなしなのかもしれぬ。

英語が苦手な人でも読んでほしくて惜しまれるのは

ぐらいか。