『 プライムナンバーズ 』、面白いけど、酷い本だ。
素数にまつわる歴史や事実を本当にたくさんたくさん詰め合わせてある。だから、素数を愛する人であればどのページからでも楽しく読むことができるだろう。少なくとも私は楽しかった。でも、翻訳が気になった。
The series 1/1 + 1/2 + 1/3 +. .. + 1/n diverges as n tends to infinity.
これの訳がこんなになっている。
級数 1/1 + 1/2 + 1/3 + … + 1/nは,nを無限大に近づけると収束します。
しねーよ。オイラー先生、涙目。"diverges"って書いてあるじゃん。というか、ものが調和級数だから私でも補正できたけれども、私が知らない定理や予想も一杯出てきたので、そう言うのの中には私が気づいていない誤訳もありそうだ。
他にも「こら、訳文の都合で∀と∃の掛かる順序を入れ替えるな」というのがどこかにあったな。「何か話がおかしいんだけど、どうも翻訳が間違ってるんじゃないか」というのもあちこちにあった。
まぁ、いろんなネタを拾って面白そうなのを見つけたら原論文を漁る、という読み方なら問題ない。でも、この本で素数の魅力に初めて触れる、という読み方はできない。間違った知識を身につける虞が大きすぎる。私や id:ogijun さんに相談してくれれば専攻分野がこの本に少し近いから、流石に調和級数みたいなのは補正できただろうに。
プライムナンバーズ ―魅惑的で楽しい素数の事典 (O’Reilly math series)
- 作者: David Wells,伊知地宏(監訳),さかいなおみ
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2008/10/25
- メディア: 単行本
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