「 『有害サイト』フィルタリングは何をもたらすか 」について、いくつか興味深いコメントをいただいた。
半端な技術の危険
フィルタリングを人間の手で行うと、フィルタリングされる内容が次第に拡大していって、最終的に一部の情報は完全に手に入らなくなるような気がする
それはそうだ。だから、本質的に暴走の危険を孕んだこのような法案には反対だ。前の記事の冒頭で紹介したような「拡大解釈のおそれがあまりにも大きい」「プロバイダ責任制限法でやれ」という意見に賛同する。
ただ、もしやるならば、粗雑な実装のくせにGoogleのごとく「人間の判断は介入していない。アルゴリズムの判断だ」という言い訳を許すことだけはしてはいけない。人間がやったことならばその政治性を問うことができる。だが、「技術限界」と言われては「私を雇え」ぐらいしか言いようがない。
人間の判断の危険
だから、とりあえず現実的な解として「ブラックリスト」の可能性を検討したのだけれども、それでも暴走は止められないというのが前回の結論であった。それに、人間にやらせれば恣意性は生まれてくるという指摘は確かだろう。もし本当に「有害情報」をフィルターしたいなら、ちゃんとした技術による処理が必要だ。
有害な情報を見つけるのは有益な情報を見つけるのと同程度に困難だ
有害であることと有益であることは対称なのかもしれない。ならば、限定的ではあるけれども私たちは情報を価値づける方法を知っている。PageRank(TM)だ。あるいは、それに代わる次世代の何か。それがあればある程度公正に有害な情報を検出できる。情報を価値づける技術。
列島改造論
なるほど、この法案は情報大航海プロジェクトに繋がったりするんだったりして。だったら、この手の離散的計算のトップランナーに学ばない手はないよね。GoogleとAmazon。その背後にあるのはクラウド・コンピューティング。
この法案をまともなものにするならば「Googleを超える人間にとっての価値判断代行アルゴリズムの実装を構築するぞ」としか考えられない。そこまで言うなら、私は「列島改造論」を提唱する。
列島改造。日本国38万平方キロメートルをサーバーラックで埋め尽くす。階上にはまたサーバーラック。その上にもサーバーラック。勿論、設計的に可能な限りサーバーを。人? 人はイスがあれば寝られる 。立って半畳寝て一畳だ。 *1 サーバーは順次新機種で入れ替えて。そのサーバー群を統御する技術を国を挙げて開発する。なんという計算能力!
なるほど、これならば法案も現実味を帯びてくる。そして、次世代を担うと見込まれる技術において日本は圧倒的な競争力を持つことになるし。そもそも日本は列島を掘り返してハコを作るのは慣れてるんだからOK, OK。