昔住んだ街を歩く

昔住んだ街に降りた。 見知った音、風、匂い、そして色の中を歩いていく。

けれども、ここにもはや私の帰る場所はない。一緒に住んだ人もいない。 今のここには私はいない。私は私の中の過去の街をさまよっている。

そして、あるものは変わり、失われている。 あま噛みされる痛みが身体に広がる。

記憶が降ってくる感覚に酔いながら通り過ぎる。