2ch訴訟の昔話

なんか、相次ぐ敗訴、差し押さえを完全に無視しているひろゆきに頭に来て、とうとう 破産手続きをやる とかそんな話らしいね。

で、ふと思った。

私ゃ、それでも印象レベルではひろゆきをそこまで悪く思えないのね。これは2chに対する訴訟が始まったごく初期の印象が強いせいだと思う。まだ、2chが若くて、まだ20世紀の頃。

当時起きていた2ch訴訟というのは原告は主として大企業で、悪い評判が口コミで広がるのを嫌って書き込みを削除するように求める趣旨だった。だったのだけれども、でもその印象は限りなく悪かった。まず第一には、削除を求められていた書き込みはある程度は信憑性があったし、大企業が都合の悪い情報を封殺しようとしているのではないかという可能性があった。第二に、訴状が意味不明。当時はまだ情報技術に詳しい法曹が育っていなかった(今だって十分にはほど遠いけれども)から、よく分かっていない弁護士がよくわからないままに書いたんじゃなかろうか。どうとでも取れる、少なくとも字義通りに解釈したらまったく意味をなさない文章で、インターネットの世界に法律の人が我が物顔で踏み込んできた結果がそんな稚拙な出来であったのだから、とても好意的にはなれなかった。そして、いきなりひろゆきに書き込み削除を求めたり訴訟を起こしたり、というのが最悪の印象をもたらした。

東芝クレーマー事件においても、東芝側の弁解の中に「クレーマー」がいきなり社長室に製品を送りつけてきて修理しろと要求した、というくだりがあった。送りつけたのが事実がどうかは別として、少なくとも東芝側はこういう強引なやり方は印象が悪いのを分かっているからそう主張したんだろう。それと同じだ。

当時から2chには正規の削除手続きがあったのに、何故かそういう人たちは削除手続きを踏まずにいきなりひろゆきに電話を掛けたり訴訟を起こすことを好んだ。東芝であれ、2chであれ、確かに責任者・管理者たるならば最終的な責任は取らなければならないだろけれども、だからっていきなりすべての苦情を集約されたって困るだろう。そんなことをする輩にはトップを困らせて全体の機能を止めてやろうという悪意を感じざるを得ない。

当時の訴訟はそんなものだった。そんな頃に私は2chのアクティブユーザーであったから、私の2ch訴訟のイメージはそこで固まっている。だから、訴える側が何か変な人たちなのだろうという偏見を持っている。

その後、聞く話では、そういうのじゃない訴訟が結構あって問題になっているらしい。祭りの結果として過剰な不都合を被った個人が、投稿者のIP開示を求めてまともな日本語の文を書いて訴訟を起こし、認められたにもかかわらずひろゆきが応えていない、というような。

そうすると、偏見のままに「2ch訴訟の原告 = 言論封殺をもくろむ輩」という訳ではない。というわけだから、裁判所が認めるならば2chが崩壊してしまっても、ひろゆきの破産が決定しても仕方がないかな、とは思う。

でも、それでも私は訴訟に関してひろゆきをそんなに悪く思えない。それは、やはり、初期の2ch訴訟におけるあまりにも酷い原告たちを見た結果として根付いている偏見のもたらすものなのだ。