日本Rubyカンファレンス2006 に行ってきました。今回は、ログを「 るびま 」に提供することになっているのでいろいろややこしかったりするわけですが、当初の予定より遅れ気味の「るびま」編集が、ようやく方向性が見えてきました。だいぶ出遅れましたが、るびまへ提供したものとかぶらなそうな部分を中心に、いくつかレポートを上げたいと思います。
簡単な 第一報 は書いてありますので参考までに。
前夜祭
6月9日、スタッフおよびスピーカーによる前夜祭が行われた。詳しくは 第一報参照 。
開会
6月10日、いよいよRubyカンファレンス開幕である。
数分遅れで、 かずひこ さんの司会でカンファレンスが始まった。
まずは日本Rubyの会高橋征義会長の挨拶。いままでRuby Confには全部参加してきたけれども、Ruby縁の地・日本でこのようなイベントを開催できて非常にうれしいとのこと。
Rubyの歴史
引き続いて、高橋会長による「Rubyの歴史」。お得意の 高橋メソッド にて、Rubyの言語とコミュニティの歴史を振り返った。時折、 Internet Archive から発掘した過去の資料等を見せながらも、軽快に画面を切替えて元祖高橋メソッドのあざやかさを披露した。
分類
まずは仮説として、Rubyの歴史は5つに分けられるという。
先史時代
この時代のことははっきりとはわからない。偶に記録が発掘されて、断片的に知られている。
- Ruby誕生。1993-02-24。
まつもとさんによれば、言語という目に見えない存在ゆえ"ruby"という名前の命名を持って誕生日としているのだという。"ruby"という名前は石塚さんとのIRCのやりとりの中で、まつもとさんが構想中だった新言語の名前として石塚さんの提案を採用したものだという( [ruby-dev:5173] )。当初はコードネームCoralというのも案にあった。
Pearlの次だからRubyだというのは後付けで考えたと、まつもとさんがどこかでインタビューに答えていたはずだが、[ruby-dev:5173]によれば、石塚さんはこの時点で既に"Perl"、宝石ということに言及している。
当初は小文字の"ruby"であったが、後にPerlと並べた時の釣合から、"Ruby"と改称したそうだ。現在の 公式FAQの項目 によれば、言語名が"Ruby", 処理系のコマンド名が"ruby"ということになっている。
古代
1995-12-21、ニュースグループfj.sourcesに ruby 0.95がpostされた 。このころのログは現在は google groups で閲覧できる。
そして、メーリングリスト"ruby-list"が創設される。最初の一通目は大庭さんによるテストに失敗するという報告。二通目はそのpatch。バグレポートとpatchばかり流れる。結局、この2日間で3つのバージョンがリリースされた。
- 1996-12-25、ruby 1.0がリリースされた。
- 1997-07-18 高木浩光 さんの提案により、ruby-listから処理系開発関係の話題を分離してruby-devが創設される。
- 1997-09-22 「Perlに代わる次世代のスクリプティング言語」としてInternet Watchに載る
- 1998-05-15 RAAが設立される。当初は「紅玉適用事例貯蔵庫」という名前で、現在のようにシステム化されておらず手動で管理されていた。
私はこの頃、Ruby 1.4に触れた。残念ながらどこで知ったのか覚えていない。
中世
- 1999-10-27 ASCIIより、まつもと+石塚著『 オブジェクト指向スクリプト言語Ruby 』が出版される。
- 2001-2002年 Ruby本出版ラッシュ。
今、大型書店に行けばこのときに発行された大量の256倍本を見ることができる。なつかしや。
近代
Rubyが世界的な言語となった。象徴的できごととしては、2002-02-16、ruby-talkの流量がruby-listを超えた。ruby-talkは1998年に設立され、当初は細々と英語で情報をやりとりしていた。この現象のきっかけとしては、2002年、Pragmatic Bookshelfから"Programing Ruby"が出たことも大きいと考えられる。
若干前後するものの、2001-10-12には初のRuby Confである、Ruby Conference 2001が開催された。日本での同様のRubyオンリーイベントを見てみると、1999年に日本UNIXユーザー会によるRuby Workshopがある。これは参加者100名程度であった。
現代
Ruby on Railsが起爆剤となって、人々が大量にRubyに流入してきた。
こうして、RubyはEarly AdaptorからEarly Majorityへとchasmを越えた。