なつこ、孤島に囚われ。

なつこ、孤島に囚われ。 (祥伝社文庫)

なつこ、孤島に囚われ。 (祥伝社文庫)

主人公は私の敬愛する作家・ 森奈津子 をモデルとしている。名前もそのまま森奈津子。奈津子がある晩見知らぬ女性に誘拐され、気がつけば一人で孤島の別荘に放置されている。孤島を〈ユリ島〉、遠くに見えるもう一つの島を〈アニキ島〉と名付け、別荘で蟹を食べたり妄想したりして誘拐を満喫する奈津子。

推理小説としてはどうだか知らないけれど、まず文体模写として良くできている。一ファンに過ぎない私としては森先生の実像は知るすべもないけれど、少なくとも作中のモノローグは森奈津子の文体であり、作中の妄想はいかにも森奈津子作品的な妄想である。

推理小説としてよりも、森奈津子ファンがパロディズムとして笑えるという方に重きを置いているとしか思えない。ミステリーファンにお勧めするには微妙、森奈津子ファンには絶対買っておけと言いたい本だった。しかも「なつこシリーズ」として続いているらしい。困ったもんだ。