合宿やキャンプにおけるトランスセクシュアルの問題

世の中には、Python温泉とか セキュリティ&プログラミングキャンプ とか、要するに開発者が寝食を共にしてコミュニケーションが密な状態で集中してなんかやろうという催しがいっぱいある。これはとてもよいものらしいのだけれども、トランスセクシュアルからするとこれはどうにも敷居が高い。

合宿での問題

合宿というのは、普段独自に調達している衣食住のリソースを外注したり共同で調達したりするのが前提だ。けれども、衣食住の、生活の細かなところにこそジェンダー規範や、身体的差異に基づく無意識の配慮が大量に潜んでいる。だから、生活の細かなレベルにおいて、トランスセクシュアル/トランスジェンダー(TS/TG)は、社会が男女いずれかしか想定していないという問題に直面する。そして、問題への対応を迫られることで性別違和感の存在を意識させられる。私にはそれが苦痛である。

TS/TGは、なんらかの方法で日常においてはこの問題を自前でなんとかして社会適応している。けれども、衣食住の調達に関するコントロールを他者に委ねたり共有したりした瞬間、再び問題に直面する。あるいはそれが何らかの方策で対応可能だとしても、解決のために「問題」を正視することは性別違和感を正視することに他ならない。だから、それはとても苦痛である。

その「問題」とやらを具体的に述べたり、普段取っている解決策を書いたりすることはここでは勘弁してもらいたい。それもまた苦痛だ。ここ2, 3日というもの性別違和感がひどくてろくに仕事に手が着かなかったけど、そこに逆戻りすることは避けたい。

ちなみに、性同一性障害者に対する医療的アプローチないし 特例法 というのは、TG/TSに対して社会が認識可能な性別を割り当てることでこうした日常生活での自他の内面やコミュニケーションにおける細かなレベルでの問題の種を除去していくものである、と認識している。

お手伝い。

というわけで、私は、この手の合宿みたいなものをうらやましく思いながらも色々と理由を付けて避けてきたのだった。ついでに言うと、旅行も私にとっては必ずしも快適ではない。一人旅ならまー、問題の生じない衣食住環境を選別して調達するように我が儘も効くからまだ何とかなるけど。 Ruby開発合宿 は合宿とは名ばかりで、夜にはみんなばらけてしまうから、おかげで参加できたけど。

が、しかし、セキュリティ&プログラミングキャンプ2009は海浜幕張でやるそうじゃないか。ここなら家から通える。それで、笹田さんが募集していたプログラミング言語コースのチューターに、「通いで良ければやるよ」と答えたのであった。

講師はやっぱりあらゆる時間を通じて受講者とコミュニケーションを密にしないといけないだろうけどさ、チューターなら演習の時だけ居れば役には立ちそうじゃない? てなわけで、チューターとしてお手伝いすることになりそうである。